米国の景気拡大は10年目に突入し、過去最長の120ヵ月を超える可能性が高いと考えられます。期間が長くなるとそろそろ終わるのではないかとの懸念が生じるものですが、期間が長いという理由だけで景気拡大期が終わったことはありません。 足元の景気後退確率は21%と過去平均の26%を下回っています。経験則に基づくと、少なくとも今後2年間は景気拡大局面が続くことが示唆されます。

景気サイクル後期では、株式のバリュエーションは高まり、ボラティリティの急騰や市場の調整が生じる頻度が高くなる傾向があります。 一方、過去を振り返れば、景気サイクル後期における株式のリターンは特に強力なものとなることがわかります。米国では、企業利益にとって好ましい事業環境が続いており、現時点では引き続き米国株式は魅力的な投資対象だと考えられます。

1兆米ドルを突破したアップルやアマゾンを含むFAAMG銘柄の時価総額を見ると、5社合計で4.3兆米ドルを突破しています。これは、日本株式全体（約3.6兆米ドル）を上回る市場規模を有していることになります。しかしながら、米国株式市場の歴史上、FAAMG最大銘柄のアップルですら、市場占有度が特に高いわけではありません。 ＊フェイスブック、アップル、アマゾン・ ドットコム、マイクロソフト、アルファ ベットの米国テクノロジー大手5社を 示す略称

金融危機のあった2008年以降、米国情報技術セクターのリターンは473%と米国株式全体を大きく凌駕してきました。しかし、その上昇の約8割は利益成長によるものであり、健全な上昇相場といえます。 テクノロジー企業の株価上昇は持続的な成長性を考えれば妥当と言え、バリュエーションは過去の市場のバブル期に比べるとはるかに低い状態にあります。さらに、一部のセクターや銘柄が長期にわたり相場を支配する例は多く、テクノロジー企業が相場を先導する状態が今後も続く公算は大きいと考えます。

新興国のファンダメンタルズは依然として良好であり、経済成長のスピードは先進国を上回っています。しかしながら、投資家は米中貿易摩擦を巡るニュースを受け、実情を把握する前に新興国資産から資金を引き揚げています。

世界全体では企業活動のグローバル化が進展していますが、新興国ではいまだに、企業の売上の大部分が同域内からもたらされています。市場のボラティリティの高まりは、投資家センチメントや資金フローに新興国のファンダメンタルズが反映されていないことを示しています。

保護貿易主義、不透明な政治情勢、中国/ 新興国をめぐる警戒感、記録的水準の外国人売りなどの逆風に見舞われ、年初来の日本株式のパフォーマンスは冴えないものとなっています。 その結果、日本株式と米国株式の予想PER（株価収益率）の差は拡大しています。現在のバリュエーションにはマイナス要因の大部分が織り込まれており、国内の良好なファンダメンタルズに照らし合わせると、日本株式の割安感は増していると考えられます。

企業収益と経済全体の良好な成長見通しを背景に、株価は今後、ファンダメンタルズ改善を反映して追い上げを開始すると考えます。相場の季節性からも、10-12月期は比較的高いリターンを達成する傾向があることに加え、具体的には、下記の押し上げ材料を予想しています。 1. 9月の自民党総裁選での安倍首相の再選と首相続投 2. 財政刺激策と日銀による超低金利政策の維持 3. 今年10～11月に予想される企業の業績予想の上方修正

過去40年間、長期金利が低下トレンドを辿るなかで、株式市場では数年単位の強気相場が複数回みられました。したがって、その間は株式と債券の両資産がともにプラスのリターンを記録しました。一方、この先は、金利上昇が両資産に対して重石となるため、資産配分を多様化する必要性が高まっています。

マクロ環境を考慮すると、今後金利は上昇していくと考えており、債券に対しては直接のマイナス要因となります。さらに、金利上昇の速度と程度の大きさによっては、株式に対しても悪影響が及ぶ可能性があります。結果として、株式、債券の両資産にとって厳しい環境となるため、オルタナティブ戦略が効果を発揮すると考えています。

クラウド技術の発展により、様々な機械やデバイスが繋がりました。IoTが可能にしたモノの相互接続性は、非構造化データの爆発的な拡大をもたらしています。デジタルデータを利用することは、あらゆる産業にとって有益な機会をもたらします。

データの民主化により、事実上すべての公開企業の膨大な情報へアクセスすることが可能となります。これらのデータを収集し解釈するためには、分析システムが必要となります。人間の判断と優れた技術力をもってはじめて、情報による優位性を獲得できると考えられます。