概要

米国の経済指標が他国を凌駕する成長を示してきたことが、過去数ヵ月の市場における大きなテーマとなりました。しかし、これまで高成長を遂げてきた米国経済が今後緩やかに鈍化することで、他国との成長率格差は収束すると考えます。市場は今まさにその転換点に位置しており、このような収束は新興国資産の復活につながると予想します。また、資産クラス別では、株式、クレジット、国債の順で強気に見ています。

主なポイント

1.「米国独り勝ち」の時期はピークを迎えた

米国経済の成長率が他国を上回るペースで加速し、各国との成長率格差が広がった時期はほぼ終わりを迎えたと考えます。2018年4-6月期は米国の財政拡大が経済成長に大きく寄与しましたが、この影響は次第に薄れていきます。

2. 米国金利は年末まで現在の水準近辺で推移する見込み

米国金利は長期的に上昇を続けると考えますが、それをさらに加速させる要因が今年中に発生することはほぼないと見ています。インフレが緩やかに上昇し米国の成長率が頭打ちとなるなか、FRB（米連邦準備制度理事会）は2018年に計4回の利上げを実施すると予想します。現在の市場でも概ね同様の予想が織り込まれています。 

3. 困難な投資環境だが新興国市場が復活する地盤は整っている

貿易摩擦、政治情勢、米国の経済成長が鈍化する可能性などから、年末にかけて株式市場が一時的に反落するリスクが上昇しています。しかし、米国の成長率は今後も潜在成長率を上回ると予想され、ほとんどの新興国では経済のファンダメンタルズが引き続き健全な状態にあることから、新興国資産が復活する地盤は整っていると考えます。

レポートをPDFで見る