Menu 選択された地域でのサービス
  • 該当するものがありません
地域を選択
Remember my selection
お使いのブラウザーが古いため、当ウェブサイトだけでなく他のサイトにおいても正常にディスプレイされない可能性があります。
MARKET KNOW-HOW 市場見通しと運用に関する見解
|
2023年4月

MARKET KNOW-HOW 市場見通しと運用に関する見解 | 2023年4月

クランチタイム


2023年は、欧州の深刻なエネルギー危機の後退と中国の経済再開に伴う同国経済の回復期待を背景に、比較的好調なスタートとなりました。足元で、世界経済の「ソフトランディング」を期待する声が高まっていますが、強い経済指標はインフレ懸念を高める「諸刃の剣」であるという状況に変わりはありません。最近の銀行の経営不安を受けて信用収縮が進み、ターミナル・レートを引き上げる必要性が幾分低下したとしても、経済の底堅さが一段の利上げを招き、昨年始まった景気の調整が長期化する可能性があります。したがって、2023年も、経済成長によるインフレ加速と中央銀行の利上げが市場の主なリスクになると思われます。

マクロ環境と資本市場は重大な局面(ロッククライミングで言うクランチタイム)にあると当社は考えています。2022年の利上げの初期段階では、金融環境の引き締めを主な目的として、政策担当者が積極的な利上げを断行しました。それにもかかわらず、現在、先進国の景気は持ちこたえており、政策金利がターミナル・レートに近づく中でも金融環境は緩和的で、成長の勢いも回復しているため、中央銀行の利上げはまだ続く可能性があります。今後、ハードランディングとソフトランディングを巡る議論はより拮抗したものになるかもしれませんが、現在の市場はそうは織り込んでいません。特に金融の安定性に対する懸念が高まったことで、リセッション(景気後退)に伴うリスク資産の価格下落リスクは依然として大きく、上昇余地は限定的です。したがって、これまでと同様にリターン追求よりもリスク管理を優先することが重要です。

今回のMarket Know-Howでは、以下を中心に、リターンの見通しが非対称的である市場をいかにして投資家が乗り切るかについて取り上げます。

  • デュレーション・リスクを吸収する高い利回りを提供しているコア債券に回帰することで、インカム収益の最大化を図る。
  • 株価変動リスクの影響を減らすため、高配当株やバリュエーションが割安な株式へのエクスポージャーを増やす。
  • 発行体や借り手の間で柔軟な取引が可能なプライベート・クレジット市場へのエクスポージャーを積み増す。

マクロおよび市場の見通し


世界の経済成長

米国経済はソフトランディングに向かっていると当社はみています。労働市場のひっ迫感がやや緩和したことで賃金上昇率が鈍化し、インフレが減速していますが、経済指標は依然として堅調です。とはいえ、足元では経済の下振れリスクが高まっています。中小銀行の経営不安が高まれば、金融機関の融資姿勢が厳格化し、信用収縮を通じて実体経済に影響が及ぶ可能性があります。ユーロ圏では、エネルギー需要の減少と底堅い経済活動を背景に、今年のリセッション入りのリスクは低下しています。ただし、金融環境タイト化による悪影響がすでに出ている中、信用収縮はその悪影響を増幅させる恐れがあります。中国では、経済活動再開によって内需が拡大し、近隣諸国と世界経済にもプラスの波及効果がもたらされると当社は考えています。

出所:ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント
戻す
見通し
投資適格社債:投資適格社債は魅力的なインカムを提供

デフォルト率は過去の平均を下回る水準にとどまっている

投資適格社債に関しては、明るい材料が揃っています。2023年は底堅い世界経済を背景に、米国と欧州の両方で魅力的な利回りが 提供されるほか、スプレッドも相対的にタイトな水準で推移すると予想されます。また、企業の手元に積み上がっていた流動性バッファー(余剰資金)は2022年に急速に正常化したものの、依然としてパンデミック前の水準を上回っています。借り換え需要も全体的に低水準であり、今年償還期限を迎える米国と欧州の投資適格社債についてそれぞれ6%と10%にとどまっています。とはいえ、当社は多くのリスクがあることも認識しています。例えば、当社の基本シナリオに反して世界的なリセッションが具現化した場合や、米国と欧州でハイ・イールド社債のデフォルト率が長期平均の4%に上昇した場合、あるいはスプレッドが著しく拡大した場合などが挙げられます。


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
投資適格社債:大きなバッファー

拡大余地

過去の例を見る限り、景気が低迷し、ハイ・イールド社債のデフォルト率が上昇した場合でも、グローバル投資適格社債の予想リターンは堅調に推移すると想定されます。例えば、ハイ・イールド社債のデフォルト率が1~2パーセンテージポイント(pp)上昇した場合、投資適格社債のスプレッドは20~40ベーシスポイント(bp)拡大しますが、同債券の予想リターンはプラス圏に十分にとどまっています。実際に、当社のモデルでは、スプレッドの拡大幅が70ベーシスポイント(bp)を上回らない限り、グローバル投資適格社債の予想リターンがマイナスになることはありません。ハードランディングが回避された場合、当社は2023年に投資適格社債のスプレッドが縮小すると予想しています。スプレッドが拡大した場合でも、同資産クラスは特に魅力的なインカムが期待できるため、損失を吸収する十分なバッファーがあると考えています。また、今年は中央銀行が利下げに転じる可能性があり、マクロ環境の追い風が期待できることも、当社の投資適格社債に対する強気の見方の裏付けとなっています。


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

戻す
見通し
先進国(除く米国)株式:ボラティリティの高い世界を乗り切る

さらなるインカム獲得の機会

米国外株式は、足元で 1) 中国の早期かつ急速な経済活動再開を受けた欧州・アジア新興国の経済見通しの改善、および 2) 天然ガス価格の下落による欧州のエネルギー危機に対する懸念の後退からの恩恵を受けています。これらの要因は今後も継続する可能性があり、米国を除く先進国株式は米国株式を長期にわたってアウトパフォームする可能性があるとみています。米国を除く先進国株式は、比較的割安で配当利回りが高い銘柄が多いため、金利市場のボラティリティが上昇しインフレ率が高止まりしている現在の局面を乗り切る上で、米国株式と比べて有利な状況にあります。ボラティリティ調整後でみた場合、英国株式と欧州株式の配当利回りはS&P500指数のそれぞれ約4倍および約2倍となっています。


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
先進国(除く米国)株式:長期的な投資

グローバルなエクスポージャー

歴史的に見て、このように米国外(特に欧州)株式が米国株式をアウトパフォームする時期は長期にわたって続く傾向があります。また、すべてのセクターにおいて、米国外株式が米国株式と比べて割安な水準にあることも、追い風となるとみられます。成長性については、米国企業は内需が中心である一方、欧州企業は域内よりも域外の売上比率が高いため、世界経済の成長による恩恵を受けやすい状況にあります。中国とアジア新興国の経済は今後1年にわたって良好に推移する見込みであり、米国と欧州の経済もソフトランディングが予想されることから、米国外株式の先行きの見通しは明るいと当社はみています。長期的に、一つの地域に偏ったポートフォリオでは、広範な投資機会を的確に捉えることはできないため、特定の地域でベータを狙うのではなく、グローバルにアルファを追求すべきであると当社は考えています。


出所:会社報告書、ファクトセット、ワールドスコープ、コンピュスタット、ゴールドマン・ サックス・グローバル投資調査部

戻す
見通し
プライベート・クレジット:プライベート・クレジットに投資妙味

債券分野におけるプライベート・クレジット

非公開市場で取引されるプライベート・クレジットは、戦略的資産配分の観点から、公開市場で取引されている債券(パブリック・クレジット)のエクスポージャーを補完する資産としてポートフォリオに組み込むメリットが大きいと当社は考えています。プライベート・クレジット市場の年平均成長率は18%と予想されており、2026年には2.7兆米ドル規模に拡大する見通しです。公開市場での資金調達が困難になった中小企業がプライベート・クレジットへの依存度を高めたことで、案件の供給量が増えています。しかし、プライベート・クレジットは、もはやミドル・マーケット(中小企業向け)に限定されるものではありません。今や非公開市場における資金調達の迅速さと確実性は高く評価され、ダイレクト・レンディングは大企業にも拡大しています。こうした利点は、パブリック・クレジット市場とは異なるものであり、特に貸し手が借り手に提供する柔軟性とカスタマイズ性はプライベート・クレジット独自の特徴であると言えます。


出所:ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
プライベート・クレジット:投資家にとっても魅力的

プライベート・クレジットと他の資産クラスとの比較

プライベート・クレジットは借り手だけでなく投資家にとっても魅力的です。同資産クラスは、質が高く健全性の高い銘柄が多いことに加えて、パブリック・クレジットの利回りに3~4%のプレミアムが上乗せされています。この戦略には無担保の劣後債やディストレスト債が含まれますが、大部分は担保付シニアローンで、プライベート・クレジット分野に占める割合は過去10年で50%程度から80%程度へと上昇しています。また、貸し手は借り手に関する詳細な情報へのアクセスが可能であり、厳格なデューデリジェンスにより低い損失率を追求できるほか、一般的に「借り手と貸し手が1対1」であることから、パブリック・クレジット分野よりも効率的な「ワークアウト(債務再調整)」が可能になる傾向があります。投資家がプライベート・クレジットに資産を配分する際には、類似したリスク・リターン特性を持つ上場株式やパブリック・クレジットの資金が充てられると当社は見ています。


出所:ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

戻す

MARKET KNOW-HOW 2023年4月

こちらよりPDFをダウンロード頂けます

過去の Market Know-Hows


12月 2022

Market Know-How 2023年1月: ポイントブレイク

7月 2022

Market Know-How 2022年7月: キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン