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MARKET KNOW-HOW 市場見通しと運用に関する見解
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2023年7月

MARKET KNOW-HOW 市場見通しと運用に関する見解 | 2023年7月

低迷する市場を打開する


衝撃を緩和させるためにエネルギーを吸収する緩衝装置が用いられるように、中央銀行は世界経済の過度な成長を抑制するために金融引き締めを行ってきました。 (1) 金融政策のサイクルは各国・地域のインフレ水準に応じて異なること、(2) 信用引き締めは一部の国・地域で潜在的に強力な重しとなっていることを背景に、緩衝装置が成長に与える影響度合いは各国・地域で異なっています。多くの投資家は、金融引き締めの影響は不透明であり、リスク資産に投資する機会はほぼないのではと考えて傍観するしかない状況です。

しかし、市場は、インフレの落ち着き、政策金利の引き下げ、景気後退の回避と考え得る限り最善のものを織り込んでいるように思えます。依然としてアップサイドよりもダウンサイドの余地が大きいため、投資のタイミングを特定するのは困難であり、資金はキャッシュ等へ退避しています。超短期債券の利回りは魅力的ではあるものの変動しやすく、キャッシュを保持して戦略的資産配分の調整を先延ばしすることは、投資家にとって高くつく可能性があります。

静止物は、外部の力が働かない限りそのままです。同様に、戦略的資産配分の調整が先延ばしされれば、ポートフォリオはアンバランスなままです。投資家にとって、先延ばしを止めるべきシグナルが完全に一致することはめったにありません。地域ごとの状況が異なることから資産クラスごとの投資機会は分散しており、完全なシグナルを待つ必要はないかもしれないと当社は考えています。

今回のMarket Know-Howでは、以下を中心に、金融引き締め後の世界で投資家が戦略的に投資する方法について取り上げます。

  • 過去10年超で最高水準にある利回りを活用し、株式市場が下落するリスクをヘッジするためにコア債券への配分を再構築する。
  • リスク調整後リターンを改善し、より持続可能なポートフォリオを構築するために、伝統的な債券戦略をプライベート・クレジットで補完する。
  • 消費者主導の業績回復から潜在的に恩恵を受ける新興国株式に積極的な姿勢で臨む。

マクロおよび市場の見通し


経済の強靭性

グローバル経済は、過去のサイクルと比較すると引き締め的な環境に対してより強い耐性を示しています。当社では、民間セクターの財務の不均衡が限定的であることや、家計債務の低下が、このようなマクロ的な強さに寄与していると考えています。成長を妨げる明らかな要因がないため、成長が持続し、金利が徐々に上昇した場合、市場は現在の経済指標を織り込み始める可能性があります。しかし国・地域の格差は広がっており、政策金利効果の進捗、賃金上昇圧力、消費の回復などの動向に国際情勢は左右されると考えられます。

出所:ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント。2023年6月13日現在。「実質GDP」は、前年比のインフレ調整後国内総生産を意味します。実質GDP成長予測はゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部によるものです。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値の達成を保証するものではありません。 追記をご覧ください。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません。

資産クラスの見通し

リスク資産はマクロ経済の減速や外からのショックに対して脆弱なままであり、市場のリスク見通しは非対称的でダウンサイドに偏っていると当社は考えています。アップサイドに関しては、2つの要因から制限が生まれると当社は考えています。第1に、リスク資産のバリュエーションは、絶対値や金利対比でみて既に高い状態です。第2に、ソフトランディングには主要先進国の潜在成長率を下回る持続的な成長が必要であり、実現はまだ先です。そのため金融環境をさらに大幅に緩和する余地は限られており、主要中央銀行は市場が現在織り込んでいる利下げから遠ざかっているという当社の考えを裏付けています。米国の株式ベータを活用する短期的な機会は制限されており、グローバル株式と債券全体が代わりの強力な選択肢になると当社は考えています。

出所:ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント。2023年6月15日現在。「ソフトランディング」は、中央銀行が金融政策を引き締めることで景気後退に陥ることなくインフレを抑制することを意味します。「グローバル株式」はMSCIオール・カントリー・ワールド指数、「グローバル社債」はブルームバーグ・グローバル総合社債指数、「グローバル国債」はFTSEワールド国債指数を使用しています。「マルチストラテジー・リキッド・オルタナティブ」は、イベント・ドリブン、レラティブ・バリュー、株式ロング・ショート、タクティカル・トレーディング・ヘッジファンドをカスタマイズして組成しています。「プライベート・クレジット」はプライベート・クレジットをカスタマイズして組成しています。「プライベート・エクイティ」は、ベンチャーキャピタル、米国大型バイアウト、米国小型バイアウト、欧州バイアウト各セクターの均等加重合成としてモデル化されたものです。上記は米ドル建てです。追記をご覧ください。予想リターンは、2023年3月現在の値、および統計モデルから導き出された資産クラスの仮定的平均リターンの推定値です。それらのリターンが達成される保証はありません。実際のリターンは異なる可能性があります。上記は例示を目的とするものです。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値の達成を保証するものではありません。追記をご覧ください。
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見通し
コア債券:コアを強化

新たな市場レジーム

新たな市場レジームでは、前回の景気サイクルよりも低い期待リターンと高い市場ボラティリティが特徴になるだろうと多くの投資家は考えています。そのような考えはおそらく株式市場に偏っているものの、もっともな見方とも言えます。しかし、新たな市場レジームは、コア債券にも新たな投資機会を提供します。世界的な金融政策引き締めと金利上昇の結果として生まれた過去10年以上で最も高い利回り水準を活かすことで、コア債券は今後、これまでの2倍のリターンとより低いボラティリティを投資家に提供する可能性があると当社は考えています。パンデミック後の市場では、当初はコア債券への投資は困難だったかもしれませんが、今後は株式に代わる合理的な選択肢となる可能性があります。


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
コア債券:サイクル後期は近い

過去の景気後退時における国債の平均パフォーマンス

一部の投資家は、昨年被った損失のため『債券のリターン』に懐疑的なことを当社は認識しています。しかし、ほとんどの主要先進国の中央銀行は利上げサイクルを終了するか、終了に近づいており、市場環境は現在、根本的に異なると当社は考えています。グローバルの経済活動は引き続き底堅いものの、金融政策の引き締めは景気後退リスクを高めており、後期サイクルのシナリオを示しています。コア債券は、過去の景気後退時においてプラスのリターンを実現しており、今回のサイクルで好ましくないシナリオが実現した場合に株式のダウンサイド・プロテクションを提供する可能性があります。このような環境では、イールドカーブ全体で魅力的な利回りが得られると予想されますが、当社は金利リスクを年限ごとに分散させるよりも、中期デュレーションへのエクスポージャーを高めることを選好します。


出所:ブルームバーグ、データストリーム、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

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見通し
プライベート・クレジット:よりよい補完

プライベート・クレジットは分散のメリットを提供

プライベート・クレジットは、インカムの創出を増やし、潜在的な耐久性を高め、リターンを強化し、分散を進めることで、従来の債券戦略を強力に補完するものとなり得ます。相対的に高い利回りのプレミアムもあり、プライベート・クレジットは、過去10年間にわたってハイ・イールド社債を、年間約6%アウトパフォームしました。また、プライベート・クレジットは、ハイ・イールド社債のパフォーマンスがマイナスのときにより強い耐久性を示しており、分散のメリットを提供します。上場株式および社債の一部をプライベート・クレジットへ配分することで、ポートフォリオのリスク調整後リターンは改善すると当社は予想します。プライベート・クレジットに配分する投資家は、より持続的なポートフォリオを構築する可能性があると当社は考えています。


出所:クリフウォーター、ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
プライベート・クレジット:選別が強靭性を強化

プライベート・クレジットの貸倒損失は低い

金利上昇の環境では、ある程度の信用損失が想定されます。しかし、プライベート・クレジットは歴史的に、ハイ・イールド社債よりも低い損失率を維持してきました。貸し手は借り手企業の記録に十分アクセスすることができ、上場市場よりも厳格なデューデリジェンスが可能です。そのため、投資家はファンダメンタルズに基づいて早期警戒のシグナルを把握することができます。また、コベナンツ(特約条項)を追加することで、投資家はキャッシュフローが悪化し始めたときに、デフォルトを防ぐために先を見越して行動することができます。プライベート・クレジットは通常、借り手に対して単独の貸し手となります。そのため、デフォルトが生じた場合でも、より速くより効果的なワークアウト(債務再調整)が可能であり、より高い回収率が実現されます。


出所:クリフウォーター、ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

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見通し
新興国株式:大量消費という武器

セクターで異なる利益

新興国株式のパフォーマンスのけん引役は、市場心理主導の反発から、セクターで二極化した業績の回復に変化すると当社は考えています。一般的に事業が健全で持続的な利益を生み出す消費者向けセクターは、中国の消費者が抱える約1.1兆米ドルの余剰貯蓄の使用から恩恵を受けると当社は考えています。その結果、コンセンサス予想では、消費者向けセクターの2023年利益は平均で22.7%増加すると予想されています。一方、コモディティ関連セクターの利益は平均で19.9%減少すると予想されています。特にサービス部門などで見受けられる強い支出が、雇用や賃金の予測値を引き上げ、結果的に新興国の景気回復を下支えすると考えられます。


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
新興国株式:公開時からの参入

IPO

新興国の新規株式公開(IPO)は大幅なリターンの増加をもたらす可能性があり、新規公開株を公開価格で取得することは非常に重要です。 2016~2022年に上場した新興国企業の公開から初日終値にかけての平均リターンは53%でした。これは最初の年のリターンのほぼ3分の2をわずか1日で実現したことになります。この初日の上昇率は、過去の米国市場でみられる上昇を33%上回っています。さらに、上場年のリターンを比べると新興国は米国の3.5倍です。新興国のIPO銘柄を取得するには、指数外の銘柄を積極的に探す必要があると当社は考えています。上場企業の数は増加していますが、指数のプロバイダーがこうした増加を一般的なベンチマークに反映するには時間がかかるためです。


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

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