Menu 選択された地域でのサービス
  • 該当するものがありません
地域を選択
Remember my selection
お使いのブラウザーが古いため、当ウェブサイトだけでなく他のサイトにおいても正常にディスプレイされない可能性があります。
MARKET KNOW-HOW 市場見通しと運用に関する見解
|
2023年10月

MARKET KNOW-HOW 市場見通しと運用に関する見解 | 2023年10月

ミクロの視点


多くの市場参加者は、2023年にテクニカル・リセッション(2四半期連続のマイナス成長)と企業業績悪化のどちらか、あるいは両方を予想し、ポートフォリオを戦術的にディフェンシブなポジションに傾けていました。しかし、実際には、成長は予想を上回り、インフレは緩和傾向にあり、投資家の心理は明らかにリスクオンとなっています。成長や金融政策の方向性はまだ不透明ですが、今こそ長期的なポジショニングに注目するべきと考えています。

予想外に強い株式市場は、一部には社会に大きな影響を与えるテクノロジーともいわれるジェネレーティブ(生成系)AIの出現によるものです。しかし、最近の株価上昇によって市場がピークに達しつつあるかもしれないと考えています。今日、巨大テクノロジー企業の株式が大きな注目を集めていますが、他の資産クラスについて戦略的に検討することで、将来のリターンを生み出すことができるでしょう。

近年、望遠鏡で見るように長期的な視点から投資環境をとらえ、マクロ・トレンドに応じたポジションをとることによって良好なパフォーマンスを出すことができてきたかもしれません。しかし現在、顕微鏡で見るように詳細にポートフォリオを分析・構築する必要性が一層高まっていると考えています。

当社の見通しでは、次の投資サイクルは、ミクロの視点からの差別化、リスク認識の強化、アルファのさらなる重視が重要になります。

今回のMarket Know-Howでは、以下を中心に、投資家がリスク管理を維持しつつ世界的な回復から恩恵を受ける方法について取り上げます。

  • 新興国の緩和的な金融政策を活用し、コア債券戦略を新興国債券で補完する。
  • 将来の経済安全保障を確保するために、グローバルなサプライチェーンの再構築をテーマとするポジションをとる。
  • 企業はプライベート・マーケットに目を向けており、資金調達環境の変化から利益を得るために、従来のポートフォリオにプライベート・アセットを追加する。

マクロおよび市場の見通し


経済の強靭性

経済活動に関するデータが大幅に改善していることから、米国では、ソフトランディングを予想する声が高まっています。
米国は、金融・信用の引き締めが負担となって2024年に減速するまで短期的に強さを維持すると予想します。ユーロ圏はリセッションを回避してきましたが、今後数四半期の成長は低調と予想します。また、エネルギー・リスクが再び顕在化し、ディスインフレの進行が必要になると考えます。一方、中国の成長は失望するものであり、バランスシート・リセッションに関する懸念は妥当と考えています。最後に、日本ですが、強い労働市場、企業マインドの改善、まだ緩和的な金融政策がけん引して強い成長を見せると予想します。しかし、金融政策がどのように影響するかはそれぞれ異なるため、不確実性は高いままです。

出所:ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント。2023年9月18日現在。「ソフトランディング」は、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を引き締めることで米国が景気後退に陥ることなくインフレを抑制することを意味します。「バランスシート・リセッション」は、家計および企業がその収入のより多くを消費や投資ではなく、負債の返済に向ける状況を意味します。「実質GDP」は、前年比のインフレ調整後国内総生産を意味します。実質GDP成長率予想は、ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部によるもので、2023年9月13日現在のものです。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値の達成を保証するものではありません。追記をご覧ください。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものではありません。

資産クラスの見通し

短期的には深刻なリセッションに陥る可能性や中央銀行が予想外にタカ派になる可能性は低下していると考えていますが、米国株式市場上昇の広がりのなさと割高なバリュエーションのために下落リスクが高まっています。一方、債券市場やクレジット市場の魅力的な利回り、強固なファンダメンタルズやヘッジ機能が、株式に対する魅力的な代替策として考えられます。より長期的には、4つの大きな動き、人口動態、脱グローバル化、脱炭素、デジタル化が、インフレ、金利、成長を形づくる動きに影響を及ぼし、投資家にとってのリスク・リターンを決定すると考えています。したがって、今後のポートフォリオはそれら4つのトレンドを念頭に構築する必要があります。当社の考えでは、ボトムアップ投資が、資産クラスや居住地にかかわりなく、アルファを創出するための必要条件です。

出所:ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント。2023年9月18日現在。「グローバル株式」はMSCIオール・カントリー・ワールド指数、「グローバル社債」はブルームバーグ・グローバル総合社債指数、「グローバル国債」はFTSEワールド国債指数を使用しています。「マルチストラテジー・リキッド・オルタナティブ」は、イベント・ドリブン、レラティブ・バリュー、株式ロング・ショート、タクティカル・トレーディング・ヘッジファンドをカスタマイズして組成しています。「プライベート・クレジット」はプライベート・クレジットをカスタマイズして組成しています。「プライベート・エクイティ」は、ベンチャーキャピタル、米国大型バイアウト、米国小型バイアウト、欧州バイアウト各セクターの均等加重合成としてモデル化されたものです。上記は米ドル建てです。追記をご覧ください。予想リターンは、2023年6月現在の値、および統計モデルから導き出された資産クラスの仮定的平均リターンの推定値です。それらのリターンが達成される保証はありません。実際のリターンは異なる可能性があります。上記は例示を目的とするものです。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値の達成を保証するものではありません。追記をご覧ください。
戻す
見通し
新興国債券:新興国がリード

新興国で予想される緩和政策が新興国債券を支える

新興国におけるインフレは、直近で再び先進国よりも速いペースで低下しています。この低下は、新興国の中央銀行による相対的に能動的かつ積極的な金融引き締め政策、コモディティ価格の正常化、およびサプライチェーンの課題解決の進展によるものと考えられます。このような金融環境の引き締めや世界的な需要の減退の影響で、一部の新興国の経済活動は減速しています。その結果、それらの国や地域の中央銀行は政策金利の引き下げを検討しています。弊社の分析によれば、ディスインフレの進行がさらに続くと予想され、新興国の緩和的政策も継続すると見込まれます。この状況は、基調インフレの鈍化が徐々にしか進行せず、おそらく今後6ヵ月間の利下げがないと考えられる先進国とは対照的です。


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
新興国債券:魅力的なキャリーおよび分散のメリット

新興国債券は魅力的なリスク調整後利回りを提供

新興国債券は、伝統的な国債と比較して相対的に魅力的な利回りプレミアムを提供します。しかし、この利回りプレミアムが追加リスクの水準に見合っているとは考えていません。現在、新興国債券のリスク調整後のキャリーは先進国国債の約2倍です。歴史的に、新興国債券は先進国資産との相関が低いことを考慮すると、特に金融リスクの分散に寄与する現地通貨建ての新興国債券は、コア債券戦略への追加的な要素として考えられます。ただし、エネルギーや食品の価格上昇や、リスク回避姿勢の高まりなど、短期的な要因が新興国債券の運用実績に影響を及ぼす可能性があります。それにも関わらず、新興国債券の魅力的なバリュエーションを考慮して、当社は楽観的な見通しを維持しています。


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

戻す
見通し
株式:経済的断片化の高いコスト

貿易規制の総数

世界は、過去30年の多くの期間の様相とは根本的に異なります。1990年代と2000年代前半は国際貿易と投資の急成長が特徴でした。しかし、2023年現在では、米中間の貿易戦争、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック、ウクライナの戦争、そして進行中の地政学的緊張が、 主なリソースや製造能力への過剰な依存のリスクを浮き彫りにしています。その結果、貿易規制が2017年以降3倍超に増加しており、企業は最近まで隠れていた問題に直面するようになっています。投資家が将来の経済安全保障を守るために、サプライチェーンの再編を通じてリスクを最小化する戦略を検討する必要がある時代に突入しています。


出所:国際通貨基金(IMF)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
株式:経済安全保障の必要性

世界の先端半導体の92%は1つの国で生産されている

サプライチェーンは、経済安全保障を確保するための重要な要素です。特に、グローバル・サプライチェーンは、相互依存関係が強く、多くの場合、過剰に集中しているため、外部のショックに対して脆弱です。このことは、特に半導体の分野で顕著です。スマートフォン、ラップトップPC、自動車など私たちが日常的に使う製品の重要な部品である先端半導体の供給は、ほぼすべて1つの国、台湾に集中しています。このことが、パンデミック中に重大な混乱を引き起こしました。これを受けて、半導体のようなサプライチェーンの要素を国内回帰(リショアリング)することで、企業や政府はより強靭な事業や経済を構築することができます。この動きは、リショアリングのための機器やツールを提供する企業にとって新たな投資機会を提供すると考えています。


出所:ボストン・コンサルティング・グループ、SEMIファブデータベース、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

戻す
見通し
オルタナティブ:さらなる追い上げの余地

成長の余地

プライベート戦略は、グローバル企業への融資における役割が増してきています。実際に、2000年にはプライベート・クレジットの純資産価額が300億米ドルだったのに対し、2022年には1.1兆米ドルに成長しました。また、プライベート・エクイティの純資産価額も増加し、世界全体で5.9兆米ドルに達しています。これら2つのプライベート戦略を合わせると、20倍の成長を遂げています。一方、グローバル・クレジットや株式などの上場資産は3倍の成長にとどまり、それがより成熟した分野であることを示唆しています。絶対額では、上場資産の方が大きいですが、プライベート・マーケットのより高い成長率は、非伝統的ポートフォリオに対するエクスポージャーの供給と需要が成長していることを示しています。


出所:ブルームバーグ、プレキン、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
オルタナティブ:資産を保全

リスク当たりリターンの改善

プライベート資産のポートフォリオは、過去において安定した実績や優れた適応性を示してきました。例えば、プライベート・エクイティは、上場市場ではアクセスが難しい分野でイノベーションを起こし、長期的な価値を生み出しています。また、プライベートクレジットは、パブリック・クレジットよりも高い利回りを提供し、パブリック・クレジットとの相関性が低いです。さらに、プライベート・リアルアセットは、契約上キャッシュフローが入る事業に投資するためディフェンシブな性質を持っています。今後10年間でのインフレや金利の動向を考慮すると、伝統的な資産のボラティリティは高まると予想します。短期的にボラティリティが高まると、、投資家は上場資産を速やかに売却する傾向があります。しかし、プライベート・アセットは流動性が低いため、長期的な投資の視点を持つことが強化されます。


出所:MSCI、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

戻す

MARKET KNOW-HOW 2023年10月

こちらよりPDFをダウンロード頂けます