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MARKET KNOW-HOW 市場見通しと運用に関する見解
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2024年1月

MARKET KNOW-HOW 市場見通しと運用に関する見解 | 2024年1月

見る人によって異なる景色


モナリザは世界で最も有名な芸術作品の一つと考えられていますが、「彼女は微笑んでいるのか?」という一つの質問が芸術愛好家を二分しています。彼女の表情をどのように認識するかは、網膜のどの細胞が画像を見るか、どの神経回路を通して脳に画像が伝えられるかにより異なります。言い換えると、モナリザの微笑みは、世界経済の状態と同じように、見る人の視点に完全に依存しています。

世界の多くの中央銀行は景気後退に陥ることなくインフレをある程度抑制しており、2024年にそれぞれのインフレ目標へ回帰できると考えられています。しかし、逆イールドにもかかわらず楽観的な利益予想など指標は好悪入り混じっており、マクロ視点の見通しは広く分散しています。全体像を客観的に評価した結果、リスクは適正なバランスを保っていると考えています。

重要なことは、当社の「世界経済が景気後退を回避する」という楽観的な見通しは、「完全なリスクオン姿勢をとる」ことと同一視すべきではないということです。むしろ株式、債券、オルタナティブのバランスがとれたポートフォリオは、良好なリターン目標を維持しつつ、インフレおよび経済成長に対するリスクに対するヘッジとして機能する可能性があります。当社は、2024年は正常な投資環境への回帰が始まる年になると予想しています。

今回のMarket Know-Howでは、以下を中心に、投資家がテールリスクに対処しつつ、強いマクロ環境をいかに活用できるかについて取り上げます。

  • グリーン投資移行への道を開きつつ、長期化したデュレーションから利益を得る。
  • 変化する人口動態や急増するヘルスケア需要の可能性を投資テーマとするポジションをとる。
  • 競争力のあるリターン目標を維持しつつ、リキッド・オルタナティブのリスク低減効果を追加する。

マクロおよび市場の見通し


世界の経済成長

経済指標の強弱はまちまちであり、成長見通しにはばらつきがあります。しかし、一部の指標は他の指標よりも注目に値すると考えています。インフレ率の低下と堅調な労働市場は、実質可処分所得の増加を通して消費を下支えする可能性があります。一方、財からサービスへの支出の移行が緩やかになることは、生産活動の底入れにつながるでしょう。政策面では、金融および財政的な引き締めによる影響がすでに現れている可能性があります。パンデミックによる労働力供給の混乱を考慮すると、さらなるインフレ進行には失業率の大幅な上昇は必要としない可能性が高いようです。

出所:ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント。2023年11月30日現在。「当社」は、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを意味します。「ディスインフレーション」は、インフレ率の低下を意味します。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値の達成を保証するものではありません。追記をご覧ください。過去の運用実績は将来のリターンを予測するものでも、運用成果を保証するものでもありません。

資産クラスの見通し

2024年を迎えるにあたり、世界経済に対する見方は2023年の年初よりも楽観的になりましたが、それだけで完全なリスクオンに傾くことを示すわけでありません。テールリスクは持続し、見通しに広いばらつきがあることは、資産クラスを跨いで魅力的な投資機会を生む可能性があるとみています。債券利回りは高い水準で安定しており、債券の魅力は増しています。リスク・プレミアムは縮小しており、景気サイクル後期の環境が長引いていることは、リスクを取りに行くインセンティブを減少させています。 金利のボラティリティは2024年におそらく低下しますが、成長のボラティリティと地政学的リスクのため、リスク資産のボラティリティも高止まりするかもしれません。全体として、株式、債券、オルタナティブのバランスのとれたポートフォリオが幅広いリスクに対するヘッジができると考えています。

出所:ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント。2023年11月30日現在。「グローバル株式」はMSCIオール・カントリー・ワールド指数、「グローバル社債」はブルームバーグ・グローバル総合社債指数、「グローバル国債」はFTSEワールド国債指数を使用しています。「マルチストラテジー・リキッド・オルタナティブ」は、イベント・ドリブン、レラティブ・バリュー、株式ロング・ショート、タクティカル・トレーディング・ヘッジファンドをカスタマイズして組成しています。「プライベート・クレジット」はプライベート・クレジットをカスタマイズして組成しています。「プライベート・エクイティ」は、ベンチャーキャピタル、米国大型バイアウト、米国小型バイアウト、欧州バイアウト各セクターの均等加重合成としてモデル化されたものです。上記は米ドル建てです。追記をご覧ください。予想リターンは、2023年9月現在の値で、統計モデルから導き出された資産クラスの仮定的平均リターンの推定値です。それらのリターンが達成される保証はありません。実際のリターンは異なる可能性があります。上記は例示を目的とするものです。経済、市場等に関する予測は資料作成時点のものであり、情報提供を目的とするものです。予測値の達成を保証するものではありません。追記をご覧ください。ポートフォリオ・リスク管理手続きはモニタリングおよびリスク管理を含みますが、リスクが低くなることを意味しません。
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見通し
グリーン・ボンド:デュレーションを長期化するとき

インフレ圧力は急速に正常化

ディスインフレが大きく進行したため、多くの先進国の中央銀行は、引き締めサイクルを終了する段階に達したと当社は考えています。景気サイクル後期という経済的背景と、金利がおそらくピークに達したことから、投資家は債券ポートフォリオのデュレーションを長期化することを検討する時期が来たと考えています。インフレの正常化が続き、経済成長にともなうドローダウンが起きた場合、デュレーションが長く魅力的な利回りを提供する債券が株式下落に対するヘッジになることを示唆しています。成長ショックがなかったとしても、デュレーションの長い債券は、2024年の中央銀行による利下げによる恩恵を受ける可能性があると考えています。


出所:ヘイバー・アナリティクス、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
グリーン・ボンド:グリーン投資への道

世界的にグリーン・ボンドの発行額が増加

今後、気候変動の問題はポートフォリオにおいて大きな役割を果たすと当社は考えています。投資家はこのことを念頭に置き、グリーン・ボンドを通じてデュレーションを長期化することを検討してはいかがでしょうか。グリーン・ボンド市場は現在、欧州とアジアでの強い勢いにけん引されて2.3兆米ドルを超えています。 当社の見通しでは、このトレンドは、以下の3つの主な要因により、今後も続くとみられます。

(1)エネルギー移行の資金調達と気候変動に対処するための発行額の増加

(2)低炭素経済の創出への参加を求める投資家からの需要の高まり

(3)グリーン投資を奨励するインセンティブの創出と基準の設定による政策当局の支援


出所:ブルームバーグ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

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見通し
ヘルスケア株式:人口動態がけん引するイノベーション

高齢化が進展

現在の予測では、 2050年までにOECD(経済協力開発機構)加盟国の人口のおよそ27%を、65歳以上が占めるようになるとされています(2023年は18%)。ゆくゆくは、急増する高齢者人口が、ヘルスケア・セクターに巨大な影響を引き起こすことになるでしょう。豊富にあるイノベーションの可能性は、人口の高齢化と合わせて、ロボットによる手術、構造的心疾患、糖尿病という3つの主要分野における成長を促進しています。そのため、 2017年から2022年にかけてバイオテクノロジー株式は、堅調に推移しました。しかしそれ以降、バイオテクノロジー株式はほぼ無差別に大きな下落を経験しています。このことは長期的なアクティブ投資家にとって、より魅力的な参入機会となる可能性があると考えています。


出所:世界銀行、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
ヘルスケア株式:高齢化社会への投資

世界のヘルスケア支出は大幅に増加予定

需要があるところには供給があります。OECDは、加盟国の医療支出は2030年までに大幅に増加すると予想しています。当社は、ヘルスケア・サービスを高齢者に提供している企業や、新たな消費パターンに適応する企業は将来的に恩恵を受ける可能性が高いと考えています。ヘルスケアはまた、AIの普及からも恩恵を受ける可能性があり、医薬品開発、医療技術、デジタル化への影響が考えられます。現在の非効率性には魅力的な投資機会を生み出す可能性があります。現在、世界のヘルスケア支出のわずか5%が予防を目的としたためのものであり、95%が診断後の治療に充てられています。人口動態が経済に与える影響が重大なものになる可能性があることと同様に、投資への影響も大きくなる可能性があります。 


出所:OECD、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

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見通し
リキッド・オルタナティブ:離れて行く

変化する関係

金利環境の変化に伴い、資産クラス間の関係も変化しています。過去2年間、(1)株式とヘッジファンド、(2)債券とヘッジファンドの相関は、大きく低下しており、このことはリキッド・オルタナティブ(流動性のあるオルタナティブ資産)を介したさらなるポートフォリオの分散の機会を示しています。当社は、こうしたトレンドが今後も継続すると予想しており、より効率的なポートフォリオ設計を可能にすると考えます。また、金利上昇により、市場はより分散し、借り入れた株式の売却による現預金収入に対する金利収入が増加するため、ヘッジファンドのリターン見通しは改善していると考えます。


出所:ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント


対策
リキッド・オルタナティブ:リスクプロファイルを再考

さらなる分散の潜在的メリット

リキッド・オルタナティブは、リターンを損なうことなくポートフォリオのボラティリティを低下させることができると、当社は考えています。リキッド・オルタナティブへの配分はわずか5%で予想ボラティリティを0.32%低下させ、10%配分すると予想ボラティリティを0.63%押し下げます。リスクの低下にもかかわらず、こうした配分はポートフォリオのリターンの可能性を損なわず、将来のリターン推定値は分散のためにリキッド・オルタナティブを追加するのとほぼ変わりません。過去数年間の特徴が株式やキャッシュなどの資産クラスを特大サイズのオーバーウェイトにすることだとしたら、2024年は入念に設計された、バランスのとれたポートフォリオの年になると考えています。


出所:ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント

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MARKET KNOW-HOW 2024年1月

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